イーサネット
イーサネットとは、PCやNW機器を接続する媒体(LANケーブルや光ケーブル)とフレーム形式の規格です。 主に有線LANに用いられます。※無線LANではWi-Fiという別の規格が用いられます。
| 規格名 | 通信速度 | ケーブル種類 | 最大ケーブル長 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1000BASE-T | 1Gbps | UTP(Cat5e以上) | 100m | LANケーブル |
| 10GBASE-T | 10Gbps | UTP(Cat6a以上) | 100m | 10G対応のLANケーブル |
| 1000BASE-SX | 1Gbps | 62.5/50μm マルチモードファイバ | 275m(62.5), 550m(50) | 短距離用光ケーブル |
| 1000BASE-LX | 1Gbps | 9μm シングルモードファイバ | 5-10km | 長距離用光ケーブル |
UTP:シールドなしツイストペア
62.5μmなど:光ファイバーのコアの直径
UTPケーブルにはカテゴリーがあります。
| カテゴリー | 最大伝送速度 | 最大伝送帯域幅 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Cat1 | アナログ音声信号 | - | 電話回線用 |
| Cat3 | 10Mbps | 16 MHz | 化石 |
| Cat5 | 100Mbps | 100 MHz | 化石 |
| Cat5e | 1Gbps | 100 MHz | 主流 |
| Cat6 | 1Gbps(50mまで10Gbps) | 250 MHz | 主流 |
| Cat6a | 10Gbps | 500 MHz | 主流 |
| Cat7 | 10Gbps | 600 MHz | アース処理が必須 |
| Cat8 | 40Gbps | 2000 MHz | データセンター用途(最大30m) |
イーサネットフレームの構造
イーサネットでデータを送るときは、フレームという形式で送ります。 最も一般的なフレームのタイプは、イーサネットⅡフレームです。
| プリアンブル | 宛先MACアドレス | 送信元MACアドレス | タイプ | ペイロード | FCS | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| フィールド長 (byte) | 8 | 6 | 6 | 2 | 46-1500 | 4 |
プリアンブル:フレームの始まりを合図する8byteの固定値フィールド
10101010 10101010 10101010 10101010 10101010 10101010 10101010 10101011
宛先MACアドレス:宛先のNICのMACアドレスまたはマルチキャストアドレス、ブロードキャストアドレスが入る。
送信元MACアドレス:送信元のNICのMACアドレスが入る。
タイプ:ペイロードにカプセル化されたプロトコルを識別するためのEther-Typeと呼ばれる値が入る。
| EtherType | プロトコル |
|---|---|
| 0x0800 | IPv4 |
| 0x0806 | ARP |
| 0x86DD | IPv6 |
ペイロード:上位層プロトコルのヘッダとデータ
| L3ヘッダ | L4ヘッダ | L7ヘッダ | データ |
FCS:フレームに破損がないことを確認するための値が入る。フレームチェックシーケンスの略。
ユニキャスト、ブロードキャスト、マルチキャスト
ネットワーク通信には、主に3つの種類があります。
ユニキャスト:1つの送信元から1つの特定の宛先へフレームが送信される通信。1対1
ブロードキャスト:1つの送信先から、すべてのホストにフレームが送信される通信。1対すべて
マルチキャスト:複数のホストで構成されたグループのメンバーにフレームが送信される。1対グループ
MACアドレス
MACアドレスは、NICのチップに書き込まれている一意のアドレスです。NICの工場出荷時に設定されます。物理アドレスと呼ばれることもあります。データリンク層では、このMACアドレスに基づいてフレームを転送します。
MACアドレスは、48bitの値で12桁の16進数で表記します。書き方はいろいろあります。
- 00:00:5E:00:53:AA
- 00-00-5E-00-53-AA
- 0000.5e00.53aa
など
先頭の24bitは、OUIと呼ばれるネットワーク機器の製造ベンダーを識別する世界共通の番号です。
ブロードキャストMACアドレスは「FF:FF:FF:FF:FF:FF」です。
マルチキャストMACアドレスは、先頭の25bitは「01:00:5E」固定で、あとの23bitはマルチキャストグループIPアドレスから計算される値です。
フレームスイッチング
フレームスイッチングは、ネットワーク機器であるスイッチがデータリンク層(L2)でフレーム単位の転送を行う仕組みのことです。スイッチは、MACアドレステーブルと呼ばれる「MACアドレス」と、「そのMACアドレスに転送する際に使用するポート」の対応表を参照しフレームを転送します。このMACアドレステーブルは、CAMという高速に検索できる特殊なメモリに格納されています。そのため、スイッチのMACアドレステーブルをCAMテーブルと呼ぶこともあります。
フレームスイッチングの動作
| アクション | |
|---|---|
| 1 | スイッチのポート1でPC Aからのフレームを受信します。 |
| 2 | スイッチは、(PC Aの)送信元MACアドレスと、フレームを受信したポートをテーブルに記録します。 |
| 3 | スイッチは、テーブルに宛先MACアドレスがあるか確認します。未知のアドレスだったので、フレームを受信したポート以外のすべてのポートにフレームをフラッディングします。この例では、PC BとPC Cの両方がフレームを受信します。 |
| 4 | 宛先MACアドレスと一致するMACアドレスを持つデバイス(PC B)が応答し、フレームをPC A宛に送信します。宛先MACアドレスと一致しないMACアドレスを持つデバイス(PC C)はフレームを破棄します。 |
| 5 | スイッチは(PC Bの)送信元MACアドレスと、フレームを受信したポート番号をテーブルに記録します。 |
| 6 | 宛先MACアドレスのポートがテーブルに登録されているので、フラッディングを行うことなく、ポート1のみにフレームを送信します。 |
ステップ1
スイッチのポート1でPC Aからのフレームを受信します。
| MACアドレス | ポート |
|---|---|
| - | - |

ステップ2
スイッチは、(PC Aの)送信元MACアドレスと、フレームを受信したポートをテーブルに記録します。
| MACアドレス | ポート |
|---|---|
| AA:AA | 1 |

ステップ3
スイッチは、テーブルに宛先MACアドレスがあるか確認します。未知のアドレスだったので、フラッディング(フレームを受信したポート以外のすべてのポートにフレームを送信)します。この例では、PC BとPC Cの両方がフレームを受信します。
| MACアドレス | ポート |
|---|---|
| AA:AA | 1 |

ステップ4
宛先MACアドレスと一致するMACアドレスを持つデバイス(PC B)が応答し、フレームをPC A宛に送信します。宛先MACアドレスと一致しないMACアドレスを持つデバイス(PC C)はフレームを破棄します。
| MACアドレス | ポート |
|---|---|
| AA:AA | 1 |

ステップ5
スイッチは(PC Bの)送信元MACアドレスと、フレームを受信したポート番号をテーブルに記録します。
| MACアドレス | ポート |
|---|---|
| AA:AA | 1 |
| BB:BB | 3 |

ステップ6
宛先MACアドレスのポートがテーブルに登録されているので、スイッチは、ポート1のみにフレームを送信します。
| MACアドレス | ポート |
|---|---|
| AA:AA | 1 |
| BB:BB | 3 |

MACアドレスエントリの保存期間
MACアドレスエントリとは、MACアドレステーブルの1行のことです。 スイッチは、MACアドレステーブルにエントリを追加した際に、このエントリに対してデフォルトで300秒のエージングタイマーを開始します。エージングタイマーが時間切れになると、そのエントリはMACアドレステーブルから削除されます。
フレームスイッチングに関するよくある勘違い
フレームスイッチングはシンプルな仕組みですが、いくつか誤解されやすいポイントがあります。
スイッチは宛先MACアドレスで学習する
間違いです。スイッチが学習するのは送信元MACアドレスです。つまり、フレームを送ったきた方のMACアドレスを記録します。宛先MACアドレスは、テーブルから探すだけです。
未知の宛先フレームは破棄される
間違いです。未知の宛先フレームはフラッディングされます。
フレームスイッチングは、IPアドレスも影響する
間違いです。フレームスイッチングにおいては、L2ヘッダ(MACアドレス)だけを使用し、IPアドレスやポート番号は全く関係ありません。※ただし、L3スイッチのACL、QoSなどの機能ではIPアドレスなどを参照することがあります。
ポートとMACアドレスは常に1対1で対応する
間違いです。実際には、1つのポートに対して複数のMACアドレスが登録されることもあります。この例では、スイッチ1のポート2に、PC BとPC Cの2つMACアドレスが登録されます。
| MACアドレス | ポート |
|---|---|
| AA:AA | 1 |
| BB:BB | 2 |
| CC:CC | 2 |

スイッチは複雑で難しい
間違いです。スイッチの基本機能は、宛先MACアドレスとMACアドレステーブルに従ってフレームを転送する。ただそれだけです。
おわり
以上、イーサネットとフレームスイッチングの基本でした!